4種類のスタンダードアイテムと、季節ごとに仕込まれる限定ビール。食事にも合うけれど、ビール単体でもカプカプ飲める。ガツン!という際立った主張はないけれど、無性にまた飲みたくなる。「よい意味でどれを飲んでもナギサの味」と言われる、ナギサ独特のやさしい香りとやわらかな風味。最初の乾杯から食後のまったり…まで、さまざまなシーンに寄り添うビール、それがナギサビールです。
ナギサビール株式会社は、1996年※1に和歌山県南紀白浜でクラフトビールメーカーとして創業。白浜町内のホテル、飲食店、土産物店、コンビニエンスストア等での販売をはじめ、白浜から国内外に向けてビールをお届けしています。工場では、醸造設備の見学や売店でのビールの購入、ビールのテイスティング(有料)も可能です。(営業時間 9:00~18:00・水曜定休日)
※1:1996年は会社設立年。醸造及び販売開始は翌1997年。
酒税法が改正され地ビール醸造解禁後ほどなくして、1996年に和歌山県南紀白浜でナギサビールは誕生しました。当時29歳の青年(創業者・眞鍋和矢)が、「いつかビールが造れたら…」との思いで貯めたお金を手にアメリカでビール造りを学び、生まれ故郷の白浜で地ビール会社を立ち上げたことから始まります。醸造経験も浅くビジネスの知識もなく資金も乏しい中、奇をてらうことなく「繊細な味覚の日本人が美味しいと感じるクラフトビール」の風味を追い求めることにこだわり続けて27年、今や日本国内はもとより、海外からもオーダーいただけるようになりました。
ナギサビールの「ナギサ」は、眞鍋家の屋号から名付けられました。創業者・眞鍋和矢の祖父母が白浜桟橋で「渚」という旅館を、和矢の父が「なぎさ」という理髪店を営み、そして三代目の和矢は自身の事業でこの屋号を「ナギサビール」として引き継ぎました。
和矢は20歳の頃、京都で「ヱビスビール」と出会ったことがきっかけでビールを造ってみたいと思うようになりました。そして、ビールを造るなら、生まれ育った白浜で開業し「ナギサビール」と名付けよう!と… ビールの醸造についてはもちろん、酒税法や会社の経営など何もわかっていない頃から、名前だけは決めていたのです。
創業当時は「地ビール」と呼ばれていたクラフトビール。どこかでナギサビールと出会った方々に和矢の地元である南紀白浜を知っていただき「一度は白浜へ行ってみたい」と思っていただけたら… あるいは、観光で南紀白浜を訪れたお客さまに「またナギサビールを飲みに白浜へ行きたい」と思っていただけるように…との願いから、ラベルに白浜の地図を描いています。
大正時代、白浜桟橋・綱不知(つなしらず)湾に三本マストの木造商船がありました。その船を造ったのは和矢の曽祖父・眞鍋金太郎。そして、金太郎の父(和矢の高祖父)・眞鍋虎吉の名を取って「虎福丸」と名付けられたとか。時代は大正から昭和そして平成へと移った創業当初、和矢は親戚の集まりの席でそのように伝え聞いた「虎福丸」をビールラベルの海上に復活させました。白浜から世界へ… 創業当初は海外への流通が実現できるなどとは思ってもみませんでしたが、2017年からアメリカ、オーストラリア、シンガポール、台湾、中国などへ輸出しています。
生まれたばかりの我が子に呼吸をさせようと、母鯨が自身の頭で赤ちゃん鯨を海上に押し上げている様子を描いた「First Breath」というタイトルの絵画があります。(海洋環境アーティスト・ワイランド氏の作品) この絵画に感銘を受けた和矢は、ナギサビールが多くの方々の応援によって生まれ支えていただいているという想い、また、ビールの発酵=酵母菌の呼吸という意味合いを込めて、会社設立は1996年11月ですが、ナギサビールが醸造を始めた1997年の年号をFirst Breathの言葉とともにラベルに記しています。
コロナ禍の2020年、全国に緊急事態宣言が発令された時、「白浜に行けなくて悲しい」「行けないからせめて自宅でナギサビールを飲みます」「また必ず訪れますので、大変だと思いますががんばってください」等々…たくさんのお声をビールご注文の際に通販サイトの通信欄にいただきました。全く面識のないお客さまからの多くのメッセージに驚くとともに、このようにたくさんのお客さまにとって白浜は大切な場所であり、「白浜=ナギサビール」と少なからず思ってくださっていることを教えていただきました。お客さまに白浜を感じてお喜びいただける、ささやかでも私たちにできることは?と考え、2020年の父の日用にパンダを描いた限定ラベルを作ってみました。おかげさまでご好評をいただき、それからは「父の日」と「年末年始」にパンダを描いたラベルのビール※2を本数限定で毎年販売しています。パパパンダの「パパパン」とナギサパンダの「ナギパン」父娘(という設定)が、年末年始ラベルには干支の動物たちと一緒に登場します。
※2:パンダラベルは【アメリカンウィート】と【ペールエール】の2種類のみの展開
一部の限定ビールのラベルに、それぞれのビールのイメージや醸造したときの想いを小さく小さく描いています。ときにはラベルをじっくりご覧いただきながら乾杯していただけましたら!
美しい琥珀色が特徴の「アンバーエール」のラベルには、人魚姫が座っています。
宝石として珍重される琥珀は、18世紀前半まで海の産物と信じられ、18世紀後半から陸でも採掘されるようになりました。アンバー(琥珀)という言葉は、古代アラビア語アンバール「海に漂うもの」から派生したといわれています。琥珀が嵐のあと海から打ち上げられた宝石であったことに由来すると考えられ、海洋神ポセイドンの末娘である人魚姫が、王子との悲恋に嘆いて流した涙が固まり琥珀になったという、海に漂う琥珀に由来する伝説もあります。
創業当初ナギサの経営状況が芳しくなかった頃、当時としてはまだ珍しい国内外のクラフトビールを扱ったビール専門居酒屋が和歌山市内にありました。そちらのマスターが「地元・和歌山の地ビールだから」とナギサをご自身のお店のメインビールとして扱ってくださり、そのおかげでナギサビールは和歌山市内の方々に徐々に知っていただけるようになりました。そのころはまだアメリカンウィートとペールエールの2種類しか醸造することができず、マスターは常々「ナギサビールのアンバーエールを飲んでみたい」とおっしゃっていらしたのですが、とても残念なことに突然の事故で亡くなられ、私たちがマスターの想いにお応えすることは叶わなくなってしまいました。シルエットだけの少し物憂げにもみえる人魚姫には、私たちのマスターへのそのような気持ちが重なっています。
ハワイ語で海亀のことをホヌといいます。ハワイではホヌはとても神聖な生き物で、幸運を運んでくれる「海の守り神」とされています。
ゴールデンエールを初めて発売する約1ヶ月前、2011年3月11日に東日本大震災が発生しました。そのことを受けて、白浜町の白良浜とハワイのワイキキビーチが友好姉妹浜提携を結んでいることもあり、どうか海の神様が津波を鎮めて日本を守ってくれますように…との祈りを込めて、急遽ラベルにホヌを配しました。もちろん、今もその願いは全く変わっておりません。
ナギサビールの工場からほど近い白浜の三段壁洞窟は、武蔵坊弁慶の父親といわれる熊野別当湛増が率いる熊野水軍の船の隠し場所だったという伝説があります。熊野水軍は「熊野海賊」の別名があり、瀬戸内海の制海権を握り源平合戦で活躍し、白良浜にお宝を隠したとも。そんな伝説に因んで、白良浜では毎年「熊野水軍埋蔵金探し」のイベントが開催されています。
熊野の海賊たちが猛威を振るっていた時代に、もしもビールが存在していたら… きっと海賊たちは好んで黒ビールをガブ飲みしたのでは?と想像し、眼帯をつけた海賊のイメージから「アイパッチスタウト」と名付け、ラベルの帆船に「熊野水軍」と記しました。ドクロマークの旗が掲げられ、埋蔵金は宝箱に眠っています。ナギサ通の方々から「スタウト」や「黒ビール」ではなく「アイパッチ」と親しまれているナギサの黒。名前の由来とは裏腹に、とてもやさしくてマイルドな味わいです。
1996年白浜桟橋の小さな工場からナギサビールは始まり、念願叶って2015年、いそぎ公園内に工場を新築・移転することができました。それに伴いタンクの数も増え、熟成に時間を要するドイツスタイルのラガービールも製造可能となりました。このように時間はとてもかかりましたが、現在の工場で新しいスタイルのビール醸造に挑戦できるようになることができたのも、今日まで数えきれないたくさんの方々にお世話になったおかげです。この19年という年月の間には、素晴らしい出逢いをたくさんいただきましたが、大切な方々との悲しいお別れもありました。もう今となっては一緒に乾杯できないその方々に天国で召し上がっていただきたいとの想いで、移転後初めて醸造したヘレスラガーに「ヘヴン」と名付けました。海上のはるか向こうの空の十字架に、みなさまへの感謝の祈りを捧げたいと思います。
2024年 | 【アメリカンウィート】ワールド・ビア・アワード2024 カントリーウィナー(Wheat Beer/American Style Wheat Beer部門) |
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2024年 | 【アメリカンウィート】ワールドビアアワード2024 金賞 |
2024年 | 【ペールエール】ワールドビアアワード2024 銀賞 |
2023年 | 【ペールエール】ワールドビアアワード2023 銀賞 |
2023年 | 【アメリカンウィート】ワールドビアアワード2023 銅賞 |
2022年 | 【ペールエール】ワールドビアアワード2022 カントリーウィナー(Pale Beer/English Style Pale Ale部門) |
2022年 | 【ペールエール】ワールドビアアワード2022 金賞 |
2021年 | 【ペールエール】インターナショナルビアカップ2021 British Heritage カテゴリーチャンピオン |
2021年 | 【ペールエール】インターナショナルビアカップ2021 金賞 |
2021年 | 【アメリカンウィート】インターナショナルビアカップ2021 銅賞 |
2020年 | 【みかんエール】インターナショナルビアカップ2020 銀賞 |
2020年 | 【アメリカンウィート】インターナショナルビアカップ2020 銅賞 |